B-plus掲載　山田勝己さんとの対談記事

空手団体・白蓮会館の和歌山支部と田辺支部を統括する有本支部長。本日お邪魔している和歌山道場の他に田辺道場も運営しているそうですね。まずは白蓮会館と有本支部長のプロフィールをおしえていただけますか。

白蓮会館は少林寺拳法にルーツを持つ空手で、柔法という護身術も取り入れた武道であり格闘技なんですよ。私の父は、白蓮会館の創始者と共に少林寺拳法から独立した内の一人で、和歌山支部を創設しました。私も物心がついた頃から道着を来て練習し、他流派も含めさまざまな大会で結果を残してきたんです。

子どもの頃から、いつかは後継者にと思いながら鍛練してきたのでしょうね。

ええ、父も私もそのつもりで練習に励んできました。そうした中、8年前の2015年に父が急逝したことで私が道場を継ぎ、父の教えを守りながらも新たな指導に取り組んでいます。

お父様から受け継いだものと、有本支部長ならでは工夫をぜひ知りたいです。

私の父は、道場でも自宅でも態度が変わらない厳しい武道家でした。靴の脱ぎ方や箸の持ち方が悪いとすぐに叱られましたね。父というよりも先生であり、常に敬語で話すほどだったんです。もちろん今は、そのような態度が通用する時代ではありません。しかし、空手を通じて人に迷惑をかけないことや、道徳的な行動の大切さを教えることは、私の揺るぎないモットーの一つです。

今のお話からすると、生徒さんはお子さんが多いのでしょうか。

そうなんです。当道場の生徒は8割が子どもで、大人も子どももみんなで一緒に道場で汗を流しながら、言葉遣いや団体行動に必要なマナーも学んでもらいます。それに加えて1対1のパーソナルレッスンや、自宅で練習するためのオンラインレッスンも導入しているんですよ。あくまでもサポート的なメニューではあるものの、大会出場や昇級試験前の強化練習に利用してもらっています。

なるほど。最先端の指導法も取り入れていらっしゃるんですね。

おっしゃる通りです。私たちの基本理念は人間形成を追求する空手道場であること。真の強さを身に付けるには、苦しいことにも楽しみながら取り組まなければなりません。そこで、体を強くするための筋トレ一つをとってもがむしゃらに頑張るのではなく、みんなで競争したり、途中で飽きないよう別のトレーニングに変えたりするなどの変化をつけているんです。

年齢や実力に応じた指導もしてくださるのでしょうか？

もちろんご安心ください。当道場は空手で楽しく体を動かしたい初心者から、大会出場を目指す上級者までクラス分けをしています。一人ひとりに合った指導をしながら、私も一緒に練習するなど、子どもたちと共に遊び回っていますよ。

私も有本支部長と同じで8年前に他界した父の影響を大きく受けてきたんです。配送の仕事をしていた父はとても厳格な性格で力もありました。あるとき私が、溝に落ち込んだ50㎏もある肥料の袋を引っ張り出せずに困っていたところ、父が片手でいとも簡単に持ち上げたんですよ（笑）。「父にはとても敵わない。でも、少しでも追いつきたい」という気持ちが私の原動力です。有本支部長との共通点を感じますね。
 

よくわかります。私は父について、常に周囲から「お前の親父は偉大だ」と言われ続けてきました。簡単には手が届かないほど大きい存在だからこそ、私は父の背中を必死で追いかけ、ゴールのない目標に人生を賭けたんです。

そんな有本支部長の決意と将来の抱負を、あらためてうかがいましょう。

心身を鍛えストレスも発散できる空手は、子どもから大人まで一緒に練習できる武道ですから、今後も空手の素晴らしさを広め、多くの方に親しんでいただきたいですね。そして、亡き父に「ここまで来たぞ」と胸を張って言える指導者になることが私の目標です！
 

これからもお互いに生涯現役で突き進み、誰からも憧れられる男になりましょう。有本支部長と白蓮会館さんのさらなる躍進を応援しています！